アシガール・第6回「平成に若君キター!」-1-
第6回のストーリー
現代に来た瀕死の忠清を、医者である唯の母・美香子が手術をして助ける。
唯の家族は親身に世話をする。
戦国での唯は、忠清が3分で戻るはずが戻らないので慌てる。
城中では、忠清が消えたと大騒ぎ。
成之の策略で、唯は忠清の失踪への関わりを疑われ……。
暗殺の矢で胸を射られた忠清は、タイムマシンで尊の実験室に飛んで来る。
胸には唯からの手紙。
- 唯の手紙〈 たける わかぎみをよろしく ゆい 〉
- 尊「瀕死の若君を、丸投げですかー!?」
翌日、病院のベッドで目を開ける忠清。
- 美香子「気がついた?もう大丈夫よ。ゆっくり休んで」
忠清はすぐに目を閉じる。
看護師ふたりが点滴の具合をみにくる。目を開ける忠清。
- 忠清「名はなんという」
- 芳江「あの…芳江ですけど」
- エリ「エリです」
- 忠清「芳江殿、エリ殿、難儀をかける」
- ふたり「痛みいりまする」
名前を覚えて呼ぶことは、それだけで相手の心を開かせる力を持つと思う。
看護師にとっては、忠清は突然現れた訳の分からない患者だ。しかし、心を込めて世話をする。
優れたリーダーは、相手の名前を大切にすることがいかに重要かを知っている。
美香子がどのような医者なのかも分かってくる。そして、覚と尊を含む速川家のすぐれた家族関係、看護師たちとの温かい関係も見えてくる。
唯はこの人たちに囲まれて育ったんだ!
尊は、忠清が戦国の世界から現代へタイムマシンで飛んできたことを説明する。
- 忠清「450年。…これは奇怪な話じゃ」
忠清を見つめる尊。
- 尊〈 見とれてしまった。前略、お姉様。お姉様は超面食いだったのですね 〉
- 忠清「しかし、この館。白装束で徘徊する女たち。あの世でないのであれば、確かにここは450年後なのかもしれぬ」
- 尊「ガッテンしていただけましたでしょうか?」
- 忠清「合点はゆかぬ」
- 尊「ええ? じゃあ何でそんなに落ち着いていられるんですか」
- 忠清「わしはの、何も分からぬ時は全て分かる顔で何も言わぬ。見えぬ時は見えるまで黙す。むやみに騒ぐは愚かな事じゃ」
- 尊「なるほど、さすが戦国武将」
- 忠清「ところでお前、名は?」
- 尊「僕…、それがしは唯之助の弟で、尊と申すでござる」
- 忠清「お前が唯之助の? 尊……。よい名じゃ。励め」
- 尊「ははっ」
「よい名じゃ。励め」といわれ、嬉しそうな尊。すっかり家臣の感じ。
NHKブログで忠清役の伊藤健太郎さんが「忠清はもともと、心を許した人にしか自分をさらけ出せないタイプ」と話していた。
それなのに、尊に初めて会ってまだ名前も知らないのに、大切な言葉を伝えている。やはり、忠清の人を見る目の高さ、そして尊の柔らかな性格かな。一瞬で尊を信じたと思われる。
ベッドの名札は「若 君 様」。
みんなそろって楽しく遊んでいる。
唯の部屋。ベッドに横向きに寝て左ページからマンガを読む忠清。
〈 あざーす…。ガチでハンパねぇ…ッ。マジうぜえ〉。などのセリフ。
- 忠清「うろんな書物」
室内に目をやり、唯の金メダルをかじっている写真を見つける。
忠清は、唯が「♬おお牧場はみどり…」と歌い「ホイッ」と言ったのを思い出し笑う。
マンガのセリフ、「マジうぜえ」は第8回に忠清がドンピシャリの場面で使う。
忠清がベッドでマンガを読むシーンは、尊がこっそり写真に撮って戦国の唯へ渡される…。
尊は、忠清が450年前から飛んできたことを納得させるために黒羽城跡へ連れていくことにする。
忠清は、尊の高校の制服でコスプレする。
- れいな「誰? あの人」
- 美沙「超イケメン」
- 尊〈 姉上様、若君のコスプレに JKが片っ端から射抜かれていきます 〉
オヤジ狩りに会う木村先生を見つけた忠清。
- 木村「やめなさい、あっ、あっ、誰か〜!」
鞄を奪われる。駆けよる忠清。男たちが殴りかかる。まとめて倒す忠清。
- 忠清「下郎、恥を知れ!」
奪った鞄を持って逃げる男。
- 忠清「尊、追えっ! 早う!」
- 尊「ええ…、僕?」
- 忠清「討つのじゃ!」
残りの二人と闘う忠清。
決心して男を追う尊。
- 男「離せ、この野郎!」
殴られた尊はやり返す。尊に加勢する人たちがいて、鞄を取り戻す。
へたりこんだ尊の前に腰を下ろす忠清。
- 忠清「大事ないか?…いかがした?」
- 尊「初めて…ケンカしたので」
- 忠清「そうであったか。幸せなことじゃ。争いを知らず暮らすことができる」
- 尊「若君…」
ニコッとして手を差し出す忠清。その手を握る尊。
「幸せなことじゃ」という忠清の言葉は、戦いを知らずに暮らしている今の日本を的確に表している。
「そうだ! 平和の中にいるのだ!!」
それが「しあわせ」であることに、改めて気づかされる。
- 木村先生「君たち、ありがとう。助かったよ」
その顔を見て驚き、笑う忠清。
- 忠清「木村」
- 木村「はい」
- 忠清「やはり木村は不意打ちに弱いと見える。精進いたせ」
- 木村「…はい」
怪訝な顔のままうなずく木村。
木村政秀は羽木家の家老で、正名僕蔵さんが木村先生と一人二役を演じている。
忠清は唯の学校の木村先生を、戦国の木村家老が現れたと勘違いしたのだろう。
木村にしてみると、見知らぬ高校生から助けてもらったが、なぜ自分の名前を知っているのだろう? 生徒なのに「精進いたせ」などと上から目線だし…。
そして、実は…、木村の社会科準備室には、木村家老の鎧や兜が飾ってある。
ということは、…子孫? 木村もタイムマシンで!?
謎は謎をよんで…。
(つづく)