アシガール・最終回 -3-「若君といつまでも!」
褥で目を覚ます唯。
- 𠮷乃「気が付きましたか?」
- 唯「ああ、おふくろ様だ。私…、生きてたんですね」
反対側から声がする。
- 藤尾「お目覚めにござりまするか」
- 唯「あっ、え~っ!」
藤尾を見て驚いて起き上がる。
- 藤尾「黒羽城奥御殿を取り仕切ります、藤尾にござります」
廊下にも侍女たち。
- 唯「何これ、ここどこ?」
- 𠮷乃「お城です。お前はその奥御殿にいるのです」
- 唯「あ…、戦は? 若君さまはどうなった?」
- 𠮷乃「援軍が小垣に向かったところです。じき勝負もつきましょう」
- 唯「こうしちゃいられない。行かなくちゃ!」
飛び起きて走り出す唯。
- 藤尾「なりませぬ。男のなりで戦に出るなど、もってのほか」
- 唯「だったら、どうやって若君さまを守るっていうのよ!」
- 藤尾「は? 守る?」
- 𠮷乃「唯はその足にて若君さまをお守りしてきたのでございます」
「私、生きてたんですね」という唯の言葉は、戦場をくぐった者には当然の言葉だろう。死んでしまったかもしれない激しい戦い。事実、唯は鉄砲で撃たれたのだ。
11回の終わりは、「唯はもう死んだ」と思わせるシーンだった。唯は撃たれたあと、川に突っ込み動かなくなった。
もう、びっくりした。ヒーロー(ヒロイン?)が死んだら、どうなる!
平成の世に「死ぬこと」について考える。
現実離れして難しいが、とても価値があると感じる。
誰もが一直線に「死」に向かって生きているのだから。それだけは間違いないことだから。
𠮷乃の落ち着いた立ち居振る舞い、特に胸に沁みわたる「声」。
唯を一瞬にして穏やかにさせ、安心させてしまう。
戦国時代にタイムスリップした唯が、どんなに𠮷乃を頼ったことだろう。𠮷乃が唯を生かしてきた。
藤尾の存在も際立っている。
「SP」では、キャラ変した藤尾サマが登場する。見落としてはならない!
廊下の侍女たち。
- 侍女「このような暴れ河童を若君様がご寵愛とは…」
侍女を見る唯。
- 唯「ごちょうあいって、え? 超・・・超、愛してるってこと !? 」
- 吉乃「た~わ~け~」
唯の言った「寵愛…」は、𠮷乃に「たわけ」と言われてしまった。
広辞苑で調べたら「寵愛 = 特別に愛すること」とあった。例文として「主君の“寵愛”を受ける」ともあった。唯の解釈「超、愛している」は、大正解だ。
𠮷乃は「他の人々の前でそんなことを言うのではない」と、たしなめたのだろう。もちろん、「ちょう」の漢字が違うけど。
唯を「暴れ河童」(名付けはピッタリ)と陰で言っているらしいこと。
唯の存在は、城の女たちの格好の話題だと思う。あのような服装で跳び回り、髪を長くするのが定石の時代にベリーショートにしている。この男の子のような女の子を「あの若君」が愛しているなんて!!!!!!
なかなか結婚もせず、側室もとらない若君が、侍女たちの間では噂の的であり憧れの的であるらしいこと。
あの若君とこの暴れ河童のカップル。
侍女たちの普段が垣間見られる。