アシガール・私的(素敵?)覚え書き 第7回 -2-



アシガール・第7回「待ってます戦国で!」-2-



尊の実験室。


忠清が戦国へ帰るのを見送る、覚・美香子・尊。
                                   
タイムマシンがあと二回しか使えないと知って、それなら「唯は現代へ戻らない!」と慌てる覚・美香子に…、

  • 忠清「ご案じめさるな。唯は、わしが必ず父上と母上のもとへお返し致す」


と誓う。

  • 忠清「では、これにて」


荷物を入れたバッグを忠清の肩に掛ける美香子。

  • 美香子「お体に気をつけて」
  • 覚「高山なんかに負けるんじゃないぞ!」


タイムマシンの起動スイッチである脇差を抜く忠清。

  • 尊「若君! 教科書に載ってないかもしれないけど、僕、若君のこと忘れないから! 若君や、きっと大勢の人たちが同じように生きてたんだなって覚えているから!」


微笑む忠清の姿が消える。

  • 尊「若君様ぁ!」


尊の「若君や、大勢の人たちが同じように生きていたんだなって覚えているから」というセリフは、アシガールの核心だと思う。


過去を切り離して考えるのではない、過去と地続きにある現在。

そしてまた地続きの未来。

歴史は本当の大河のように、大地をうねって流れていくものなのだろう。


ヒトの体にも大河がある。
生まれて、一日一日を重ねて、今の自分がある。
過去はひとつ残らず自分の中に詰まっている。
明日を迎える自分も詰まっている。


ヒトも大地をのたうちまわりながら流れているのだろう。


海へ、海へ。


そして、水蒸気になって、空へ空へ。






詮議の場に突き出された唯。冷たい牢にいたため高熱を出している。


成之が「唯之助は己の姿を偽り忠清に近づいた」と忠高に訴え、その証拠を「ご覧にいれましょう」と、役人に命じ唯の着物を剥ぎ取ろうとした。


そのとき、忠清が現れ意識朦朧とした唯を抱き起こす。

  • 忠清「唯、まさかこのような目に遭うていようとは...」
  • 唯「やだ、髪べたべたなのに」


忠清の顔を見て微笑む唯。

  • 忠清「すまぬ...。許せ...」


ぼんやり忠清を見る唯。


唯を抱き締める忠清。

  • 唯「〈 これって夢? 若君の腕の中にいる気がする 〉」


信茂が奥から出てきて、唯を抱いた忠清を抱き締める。

  • 唯「〈 じじいの腕の中にいる気もする。やっぱ夢かぁ 〉」


信茂、よくやった!


大勢の注視の中で唯を抱き締めた忠清の決意。
「思わず」とはいえ並大抵ではなかろう。


それをオブラートに包んだのが信茂の行動。二人をまとめて抱いたのだ。


忠清役の伊藤健太郎さんがオーディオコメンタリーで、こんなふうに話している。「じい」天野信茂役はイッセー尾形さん。


「唯と若が一緒にいるところをじいがバーッと走ってきて、抱き締めるところあったじゃない。あそこなんかもね、すっごい力強いのね。じい、力、強い!」



忠清が長く会えなかった愛しい人を抱いているのに、ぜ〜んぜん、甘い雰囲気はどこへやら。


ふたりの孫を抱いているおじいさんの絵になってしまっている。






夜。唯は離れ座敷に休んでいる。


小平太が来て、忠清からの言葉を伝え預かった手紙を渡す。
封筒には手紙のほかに尊がこっそり撮った写真も入っていた。

  • 唯「若君が、私の、ベッドで、マンガ読んどる! あ〜、ずるい。私もこんなん生で見たいよ〜! はぁ〜」


布団に転がり脚をバタバタさせて口惜しがる唯。


こんな面白い行動はマンガだから?
始めはそう思った。


しかし、よく考えると唯は現代の世界で忠清を見たことがない。

タイムマシンが一人しか飛ばせないからだ。
父母と弟がいて、忠清がいて自分がいる、という状態にはなれない。
やっぱ、マンガかぁ。………(ウソです)


忠清のそばにいたい唯は、本当に尊が羨ましかったのだ。







唯のいる座敷の庭へ忍んで現れた忠清。

  • 忠清「お前のおかげで、一命を取り留める事ができた。礼を申す」


忠清は父母からの土産のアーモンドチョコレート二粒を唯に渡し、食べる姿を微笑んで見る。


忠清の顔から笑みが消える。

  • 忠清「これを返しておく」


脇差を渡す。

  • 唯「タイムマシン。これってあと何回使えるんですか? 燃料が少ないって、尊が…」
  • 忠清「あと一度。…と申したらどうする?」
  • 唯「行ったっきり、ここには帰れないってことですか?」
  • 忠清「そうじゃ」
  • 唯「だったら、家に帰るのは諦めます」
  • 忠清「ここで生きていくということか?」
  • 唯「はい!」
  • 忠清「そうか」


背を向ける忠清。

  • 唯「若君様?」
  • 忠清「そろそろ帰る。唯。それはあと二度使える」
  • 唯「二度…」
  • 忠清「家では皆、お前を案じておる。次の満月では必ず帰れ…。そして、(唯を見る)戻ってまいれ」
  • 唯「若君…。はい! 帰って、また来ます!」
  • 忠清「うむ」
  • 唯「っしゃ〜!」


微笑み、去っていく忠清。


手を振り、見送る唯。


忠清を思って、「戦国で生きる」という唯。


唯のために「タイムマシンはあと二度使える」と嘘をつき、平和な現代に戻れという忠清。


思いやる心はふたりとも同じ。


しかし、それではふたりは離ればなれになってしまう。







たら、れば、は、御法度だが。


〇 忠清が「現代に戻れば、もう二度と戦国へは来ることができない」と唯に言ったら…。


〇 第4回「ドキドキの夜!」で、忠清に「腹が決まったら参れ」と言われて、唯が「はい」と言っていたら…。



ほかにもありそう。



  
(つづく)

#アシガール #伊藤健太郎 #黒島結菜

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