(7)「牛乳屋のココちゃんとピクニック」
牛乳屋さんのココちゃんは、私の同級生でした。
ココちゃんのお父さんや配達のお兄さんたちは、私の家に毎朝牛乳とヨーグルトを届けてくれました。
ココちゃんの家は一階がお店で、二階が住むところでした。家にお邪魔すると、並んだいくつもの冷蔵庫の間をすり抜けて靴を脱ぎ、二階への階段を上りました。
部屋で遊ぶのに飽きるとよくピクニックの真似をしました。すぐそこの空き地や河原に出かけて、遊んだりおやつを食べます。
あ、これは書いてみると真似ではなく正当なピクニックでした。二人とも石拾いが好きなのできれいな石を集めました。線の入った石もたくさん見つけました。お菓子の缶にコレクションしていました。
ココちゃんは必ずお店の冷蔵庫からヨーグルトを出して持っていきました。私の家にあるのと同じヨーグルトですが、外で食べるとどうしてかとても美味しいのです。ちょっと甘くてプリンのカケラが入っているようでした。
ココちゃんも毎日食べているはずなのに、
「おいしいねえ!」
と言うのです。
私の持ってきたお菓子、たいがいはおせんべでしたが、それもいつもよりおいしいのは不思議でした。
たくさん遊んだ後のおやつには「不思議な何か」が入っていたのでしょう。
石集めは、大きくなってもずいぶん長い間マイブームが続きました。というか、今も細々と続いています。河原で「はちまき石」の美しい紋様がどこにもここにも夥しくあるのを見つけたときは、別の世界に来たかと辺りを見回しました。
先日見つけたのは、全体が薄黄色に透き通っていて中に赤茶の斑点のあるものです。水に濡らして強い光に当てると、輝きが増します。
ずっと前の石はもう箱の中にはありません。
今あるのがベストです。