♪ おもいで らんらん (14)「得意顔でいいのか 潮干狩り!」

(14)「得意顔でいいのか 潮干狩り!」

5歳〜6歳のころ、近くの河から船に乗り海へ潮干狩りに行きました。

周りはみんな知っている人でした。町内会の行事だったのかもしれません。

 

はじめは大人しく座っていました。そのうち飽きてきて船の横木(?)の上に上がりました。船の揺れに合わせて平均をとりながら景色を眺めていると、前方に低い橋が見えてきました。

橋はどんどん迫り

『あっ、ぶつかる!』

と思ったとき、記憶がとびました。


気がつくと目の前に空が見えます。船の底に寝ていたのです。

「だいじょうぶ?」

「どっか、痛くないかい?」

覗きこんできた母や父や他の人の顔。

 

私はてっきり橋にぶつかって落ちたんだろうと思いましたが、そうではありませんでした。橋の下に入る直前に、近くにいた誰かがふらつく私を抱えて降ろしてくれたらしいです。

 

考えてみると、横木の上に子どもが立ったくらいで橋にぶつかる訳はありません。『ぶつかる!』という恐怖で気を失ったのだと思います。


その日の潮干狩りは大量収穫でした。

行きの船で気を失ったくせに、鉢巻をして得意そうな顔の写真が残っています。