(17)「スポーツ好きの父」
父は体を動かすのが好きでした。
同年代の中では背が高く、すらっとしていました。
私が小さかった頃、父の勤めている会社の運動場によく行きました。
父はテニスコートにネットを張り、会社の人たちや私の兄たちとボールを打ち合いました。私はまだテニスが出来なくて、チョロチョロしていました。
野球もやっていました。野球の時は、
「危ないので離れていなさい」
と言われました。それで、ずっと遠くの草だらけのところで眺めていました。
卓球もしました。会社の卓球場は広くて何人もが同時に練習していました。父は私のためにテーブルを二つ合わせて小さい卓球台を作ってくれました。兄たちと汗をかいて球を追いかけました。
父はスキーもしていました。滑っている姿や立ち止まってポーズをとっている姿の写真を見たことがあります。長野とか北海道の山スキーだったようです。
はっきりしないのですが、国体にも出場したことがあったと母から聞きました。すごい数の人たちとお揃いのユニフォーム姿で写っている写真がありました。
父は寡黙な人だったので、その話を本人から聞くことはありませんでした。