(19)「ふたりの兄」
私には兄が二人います。
私が赤ちゃんのころに、二人はもう学校に通っていました。
母は時々、私のお守りを兄たちにお願いしたようです。
ある日、遊びから帰った二人に母は尋ねました。
「赤ちゃんはどうしたの?」
「おっ!」
「あっ!」
野球で遊んでいるとき、草の上に寝かせていた赤ちゃんを忘れて帰って来たらしいです。
「泣きもしないで寝ていた!」
と迎えに行った兄たちは言ったというが、本当でしょうか。
ウサギを飼っていたときのこと。
兄たちは相談して、小さいウサギに私と同じ名前をつけました。
よく世話をしたけれど、じきに息をしなくなってしまいました。
<動物に親しいものの名前をつけてはいけない>
「それが教訓になった」と、母は言いました。