(20)「パラシュートは花火大会の宝物」
私が小さかった頃、毎年近くで大きな花火大会が開かれました。
家には知り合いの人たちがいっぱい来ます。
夕方ごろから賑やかになって、暗くなってくると出発です。何人かの人たちでグループを作ります。あまり大勢一緒だと迷子になるからです。
会場は土手でした。もうたくさんの人たちがいました。道もよく分かりません。草が生えたりしているはずですが、ほとんど何も見えません。
「ここら辺にしようか?」
と、立ち止まった場所で見物です。
「ドン、ド〜〜ンっ、パパパパッ」
音がして花が咲いて、
「わーっ!」
という歓声や掛け声も聞こえます。
花火の一番好きなところは、お腹に響く音。「ド〜ンっ」という音と振動でお腹が震えるときが最高です。夢中で赤や黄色の花を見上げました。
すぐそばに川があるのに暗くて見えません。向こう岸にも人がいっぱいのはずなのに見えません。
家に帰れば、ちゃんと寝る場所はないので、雑魚寝です。
翌朝、早く起きて泊まっていた子どもたちと土手に行きます。そこには花火の跡があります。火薬を包んだ殻の切れっ端や、火薬の中(?)に入っていたパラシュートもあります。それを拾うのです。
朝は対岸がよく見えます。
知っている友だちも来ていて
「昨日、見た?」
「すごかったね」
なんて話しながら土手道を歩きます。
パラシュートを見つけるのはなかなか難しく、先へ先へと走ったりもします。
向こうが見えるくらい薄い紙でできたパラシュートは宝物でした。
宝箱にしまい、たまに取り出し破れないようにそっとパラシュートの傘を広げました。
♪ おもいで らんらん[もくじ] - 那須高原のとっておき!