(23)「お団子のケガは体の歴史」
十五夜に飾ったお団子を食べることになりました。
大きめのお団子で少し硬くなっていました。まな板の上に乗せて、真上から包丁で切ろうとした時、包丁が滑り、左手の薬指に当たりました。
そこで、気を失ってしまいました。
気がついたら床に寝かされていました。指からはちょっと出血していました。小さな傷だったのですが、気持ちが動転したのでしょう。
それは、学校へ行く日の朝でした。しばらく休んでいたら普通に戻ったので、学校へ向かいました。ふわふわした心はどこかに残っていました。
友だちに
「今日はね、気絶した!」
と言える優越感?でいっぱいでした。
傷は小さかったけれどずいぶん長く残り、見るたびに固いお団子の記憶が甦っていました。
でも、ずっとたってから見たら少しの跡もありませんでした。
そのかわり鉛筆の芯が刺さった跡は、まだあります。というか、芯がまだ中にあるのでしょう。何度も刺したし……。
体の構造は不思議です。
体は歴史です。