(44)「夏休みの宿題」
小学1年の7月。
夏休みに入ったばかり。
縁近くの座敷に寝転んで雲を見ていました。セミの声が聞こえます。
1日は長く夕方はまだまだです。いつまでも時が進まず、果てしなく夏休みが続くと感じていました。だって40日以上あるのだから。
1日1ページずつやる宿題帳は、受け取ってすぐ始めたから3日間で終わりました。まだ夏休みは始まっていません。
絵日記や観察日記のようなものは、これからです。
大丈夫、40日あるから……。
いつ7月が過ぎて8月に入ったか分からないうちに、恐ろしくも休みが終わりました。
絵日記は、兄が8月末に
「しょうがない!」
と言って絵を全部描いてくれました。
「すごい! ありがとう」
私はそう言いながら、絵を見て文章を書きました。
8月終わりには新聞に7、8月の天気既報が載りました。絵日記にどんどん写しました。
読書感想文もありました。
先生に出したら、
「コンクールに応募するから、清書してきなさい」
と原稿用紙を戻されました。
数日して、
「原稿は?」
と、先生に聞かれました。
「ぁ、ぁ、あした……」
ふにゃふにゃと言い訳をして家に帰りましたが、原稿はどこを探してもありません。
何回か言い訳を繰り返しましたが、どうにもなりません。
「もう、どっかいっちゃったから出さないことにする」
と父に言いました。
父は辛抱強く、
「なんのことを書いたんだい? ん、ん、それで?」
と、いっぱい質問して文章を起こしてくれました。
その文を見ながら清書した……
ひどい1年生です。
あたりまえですが、コンクールは全くダメでした。
あー夏休み!