アシガール・第11回 -2-「走りぬけ!愛のために」
悪丸が見つけた山寺でおかゆの接待を受け、泊まることに。
寺には如古坊がいた。
納屋に唯と悪丸が案内される。
- 唯「悪丸! 寝ちゃ駄目だよ。如古坊が高山の連中に告げ口するかもしれないから」
- 悪丸「心得た」
次の瞬間、熟睡のふたり。
えっ! 部屋割りが違うのではないかい?
悪丸+唯? えっ、それってもしかして。
あっ、そんなことないか。
どんな部屋割りだったら、良かったのか。
1 (唯) (忠清) (悪丸)
2 (唯&忠清) (悪丸)
3 (唯) (忠清&悪丸)
4 (唯&悪丸)(忠清)
5 (唯&忠清&悪丸)
あなたならどれを選びますか?
ムフフ、ただ遊んでみただけです。ごめんなさい。
寝相の悪い悪丸の脚が唯のお腹を蹴る。
起こされた唯は、庭に出る。
- 唯「わ~、すごい星空」
- 忠清「眠れぬのか?」
- 唯「あっ、若君」
奥の寝間から忠清が出てくる。
- 忠清「夜が明ければまた歩くぞ」
- 唯「若君こそ、しっかり眠らないとだめですよ」
- 忠清「わしは慣れておる。戦場ではいつも眠りが浅い。すぐに目が覚める」
- 唯「私はどこでもすぐに眠れるんですけれど」
- 忠清「…であろうのう」
- 唯「悪丸に蹴られちゃって」
- 忠清「悪丸め、けしからんやつじゃのう」
笑うふたり。
あの部屋割りは問題だったね。
とも、いえないか。
忠清に思いがけず会えたもの。
「しっかり眠らないとだめ」という姉さんぶった唯の言葉。お母さんパワーが出ている。いつも背骨を伸ばしている忠清はちょっとデレッとする。
「どこでも眠れる」と言う唯に、「…であろうのう」と返す忠清。確かにそうだけど、どこで知ったの。唯の行動をよくウォッチしてきたんだ。
忠清は嫉妬してもいい場面だと思うけど…。
忠清も悪丸が大好きで信じているんだね。
空を見るふたり。
流れ星。
ふたりの目が合う。
縁に座る忠清。
- 唯「あの、助けに来てくれてありがとうございました。まさか若君が来てくれると思わなかったから、私、すごく嬉しくて」
- 忠清「お前を助けに行くよう送り出してくれたのは阿湖姫じゃ」
- 唯「阿湖姫が?」
- 忠清「お前を助けるのは、わししかおらぬと。お前を思うわししか」
- 唯「お前をって…。本当に?」
微笑む忠清。
背を向け頬をたたく唯。
- 唯「しゃっ!」
忠清を見る。
- 唯「わたし、長沢城でずっと思ってました。明日、死ぬかもしれない。明日宗熊と結婚させられるかもしれない。何が起きるかわからない。こんなことなら、もっと早く腹を決めてれば良かった。次に若君とそういうチャンスがあったら絶対に逃さんぞと…」
コブシを握り前のめりで忠清に近づく唯。
唯清め。まっすぐに言う方法を習わなかったのね。
「阿湖姫が『お前を助けるのはわししかおらぬ』と。『お前を思うわししか』と言っていたよ」
こんな言い方をされたら、「えっ?」って考えちゃう。
「お前」が「私」で、「わし」が「あなた」で。
唯を思うのはこの忠清。
だからぁ、「わしは唯が好きなのじゃ」ってどうして言えない。
これが、一国の総領として育てられた忠清の精一杯か。
「次に若君とそういうチャンスがあったら絶対に逃さんぞ」と言い切った唯を見習いなさい!
- 忠清「ははっ、まるで敵陣に切り込む勢いじゃのう。ははははっ・・」
- 唯〈 私、超フライングってこと? 〉
- 唯「失礼しました」
行きかかる唯を後ろから抱き締める忠清。
- 忠清「笑うて悪かった」
唯を見つめ頬から耳に触れる忠清。
唯〈 こ…これは絶対…目をつぶる場面だ 〉
目を閉じる唯。
唇を近づける忠清。
- 如古坊「おいっ!」
如古坊が来る。
- 唯「ああ、何よ。いいところだったのに」
- 如古坊「ふもとから松明が上がってくる」
- 忠清「何だと!」
思わず笑ってしまった忠清は、ただただ唯が可愛かったのだろう。
第4回で ♬おお牧場は緑♬ を歌ったあとのこと。
「わしは休む。ふくも来るか?」と褥に誘い、唯がためらっていたら「腹が決まったら参れ」と。
ジェントルマンよね。無理矢理だって文句の言えない立場なのに、余裕で待っていたものね。
唯はジリジリ後ずさりして部屋を出ていってしまった。
山寺でも、
「案ずるな、このままでは死ねぬのであろう」と唯を安心させる忠清。
「死ねません。せっかく腹を決めたのに」と真剣に応える唯。
急がない忠清は点数が高い!
忠清・唯・悪丸・如古坊の4人は、山路を走る。
途中、羽木勢と高山勢が川をへだてて対陣しているのが見える。
唯は、反対する忠清をでんでん丸で気絶させ、一人、羽木の陣地まで走ることを決心する。
- 唯〈 もう二度と会えないかもしれない。そう思いながら、何回離れなきゃならないんだろう 〉
一緒にいるという選択肢もあるのに、愛しい人を助けるために離れる方を選ぶ。どこまでも真っ直ぐな唯。
愛しい人が増え、その人の周りの者をも助けるために命を投げ出す唯。
あの唯が…。
授業中は居眠りし、先生を「みそ田楽」と間違える。友だちの恋バナには無関心。食べることは最重要課題。走りが速いのだけが取り柄。
なんてことのない高校生の中に、こんな誰もできないようなことに挑む心と力が秘められていた。
言い換えれば、どんな人にも、さらに言えば、全ての人に、力が秘められている。
そう気づかされているのかな。
唯はひとり、険しい山路を下りる。
でんでん丸を使い、足軽の衣装を敵兵から奪って敵陣に潜入する。
そこへ、敵の言葉に騙された成之や小平太たちが川向こうを歩いてくる。
成之を狙う鉄砲隊が配置につく。
- 唯「あ…」
飛び出す唯。坂口を押しのける。
- 坂口「あやつは間者じゃ! 撃て!」
成之に向かい、川の中を走って横切る唯。
- 唯「あっ! こっち来ちゃ駄目!!」
唯を狙う銃声。
- 小平太「何じゃ、あれは? 高山の足軽が味方から撃たれておる」
- 成之「唯之助…?」
銃声が続く。
- 唯「あっ。わっわっわっ!」
後ろ手に頭をかばい、走る唯。
- 小平太「唯之助じゃ、唯之助が走ってきます」
- 唯「兄上さん、来ちゃ駄目!!」
銃声!
流れの中に倒れる唯。
特集ドラマ「アシガールSP」のインタビュー 2018.12.14
忠清役の伊藤健太郎さんと、女子高生役の黒島結菜さんへのインタビュー。
Q 印象的なシーンを教えてください。
- 伊藤「僕は断然、忠清と唯が心を通わせるシーンですね! そこで唯は、忠清の腕の中で“もし2人で現代に戻ったら”という願望を言うんですね。その唯がね、すごくかわいかったんですよ!」
- 黒島「健太郎さん、そのシーンのモニターチェックのとき、こぶしを握って「う”ぅぅぅぅぅ!」って悶えてましたよね(笑)」
- 伊藤「悶えましたねえ(笑)。唯は、自分の生きている時代を捨ててで も好きな人のために行動できる人。人として大きいんです。でも反対に、すごく子どもっぽいところもあって、そのギャップがひかれる部分でもあるんだろうな と思います。そのシーンは思い出すだけでキュンときます!(笑)」
「人として大きい」唯。
唯・16歳、忠清・18歳のときに、この物語は始まっている。
戦国と現在では、年齢の持つ意味は違うだろう。しかし、子どもと大人の狭間にいる忠清と唯が、その年でしか経験することのできない悲しみや喜びに出逢う。
「その年でしか……」というなら、現在あるすべての人の年も「その年でしか……」ない。
だから、幸せや楽しみ、苦しみもやはり、その年でしか経験できない。
かけがえのない、命の一瞬。
◎ アシガール特別編『唯&若君 時空を超えた恋のキセキ!』
2018年12月23日(日)【NHK総合】 16時30分から17時55分
『アシガールSP』のこれまでをまとめた特別編
◎ 特集ドラマ「アシガールSP」
2018年12月24日(月・祝)【NHK総合】21時から22時30分
超時空ラブコメ再び!平成女子高生と戦国若君の恋の行方は!?
「SP」が刻一刻と迫っている。
(つづく)