アシガール・第2回「若君めざして一直線!」
第2回のストーリー
唯は戦国で男子「唯之助」として過ごす。
忠清にはなかなか会えない。
「かけくらべ大会」に出場した唯は、馬にも劣らぬ足の速さで見事勝利する。
忠清の腹違いの兄・成之に会い、若君の婚約者・阿湖姫のことを聞く。
かけくらべに勝った唯。褒美にもらった藁をかついで梅谷村の𠮷乃の家に向かう。黙ってついてきた悪丸が、疲れ切った唯に代わって藁をかついでくれる。
- 悪丸「わしは唯之助の家来になる」
- 唯「わたしは梅谷村に帰るんだから、あんたも家に帰りなさいよ。帰れっ!」
- 悪丸「家、遠い。海の向こう」
黙る唯。
この後、唯は悪丸に「家に帰れ」という言葉を決して使わなくなる。
悪丸はみるからに日本で生まれた人ではない。海を越えてやってきた彼に対し、その境遇を思いやる唯の心がこちらにも伝わってくる。
軍議の場で高山軍との駆け引きをどうするか殿(忠高)から問われた忠清。
- 忠清「国境の松丸義秀と、しかと手を結ぶが第一。松丸を味方に付ければ高山も、うかつに手は出せませぬ」
- 信近「若君と松丸の姫君との婚儀、いま一度松丸に念押し致しましょう」
- 忠高「急ぎ進めよ。(忠清に向かって)よいな?」
- 忠清「はっ」
正室と側室(幾人も)がいるのが普通の世界にいる彼。羽木という国・城・領民のため、自分をひとつの駒とした婚儀に従う。
忠清は、結婚が道具でしかないところにいるのだ。
タイムマシンで平成に戻った唯。風呂上がり。
- 唯「あ〜、気持ちいい! やっぱ、平成最高。シャワーからお湯は出るし、レンコンのはさみ揚げはおいしいし。戦国最低。わらじは痛いし、鎧はくっさいし、米は黄色いし」…「はあ、これでよかったんだよね。若君には婚約者がいるんだし。うん、性悪おとこに騙されずにすんだ。よかったぁ」
…シーツに鼻を近づける。「お日様の匂いが…しない」。
今の時代にある当たり前の幸せが、戦国との対比でしみじみと感じられる。
でも、でも、戦国の魅力が唯を引っ張る。
若君への思いが唯を戦国へ引っ張る。
高校で友だちと昼食中。
- 唯「あの人に会った時ね、この人にあうために17年間生きてきたんだなって、そう思ったのに。なのに、もう二度とあえない」
- マユ「唯が……恋?」
- れいな「あの人って誰?」
- 唯「羽木九八郎忠清」
- マユ「羽木って、ひょっとして地元のあいつ?」
木村先生のいる社会科準備室。
- 木村「羽木家はな、1559年高山家との戦に敗れて滅びたんだ。その戦で城は炎上、焼失してしまった」
- 唯「滅びた? 若君様は? 九八郎忠清様は?」
- 木村「嫡男の忠清もその戦で死んだ。忠清だけじゃない、一族の者も重臣もとにかくみんな永禄2年に死んだ。羽木家は滅亡した」
- 唯「1559年って、永禄2年なんですか?」
- 木村「そうだよ」
- 唯「それ、私が行った年です。私が若君に、羽木九八郎忠清様に会った年です」
- 木村「それは、お前…夢を見たんだな」
城跡へ走る唯。
- 唯〈 違う、夢なんかじゃない、だって会ったもの 〉〈 会って、話して、触れて。若君様は確かにいた。なのにあと半年で死んじゃうなんて 〉〈 行かなくちゃ、戦国に 〉「若君様を守るために!」
演出の中島由貴さんがNHKのページに《「会って、話して、触れて。若君様は確かにいた(by 唯)」。現代と過去を分けずに同じ人々として描くこと、これが今回の演出のテーマです》と書かれていた。
過去と今とは平面で繋がっている。地続きにいる。存在している。だんだんその世界が見えてくる。
色が付き、風を感じ、音がきこえる。
唯ではないが、走っている地面に穴があいたようにアッチへ落ちてしまいそう。
ハイ、骨の髄まで、たわけておりまする <(_ _;)>
(つづく)