「アシガールSP」-6-
超時空ラブコメ再び
(放送日 2018年12月24日)
小垣城。
門番「高山からお使いが参った。門を開けよ!」
唯は手元の脇差(タイムマシン)を見る。
唯 < とうとう残ったのはこれだけ。使えるのはあと一度 >
門が開く。
迎える鎧冑姿の忠清。
唯「若君…」
忠清「唯…」
駆け寄り飛びつく唯。
唯「若君様!」
忠清「よう来てくれた」
丸二日も走り続けて、泥だらけ、ぼろぼろに疲れ果てている唯。
降伏寸前とはいえ、若君である鎧兜の忠清。
閨の唯は、自分がノーシャワー、ノーシャンプーであるのをとても気にしていた。閨が恐かったのもあるが、自分が汚れているのを心配していた。
あれから何か月?
唯は、もしかしたらその汚れや臭いを乗り越えたかもしれない。身に纏うものではない、真の自分を認めてきたかも。
唯は、忠清がもし汚れていてももちろん許せる(唯はそんなことは軽々と越えているだろうが)。
忠清の目を見ると、汚れた唯など微塵も見えていない。
いとしい人が、会えないと諦めていた人が目の前にある喜びしかない。
日常でもそうかもしれない。訳あって汚れていることは、互いに許せるだろう。追究しないだろう。
訳があるのだから。
「降伏せよ」との言葉を伝える唯。
忠清「この上、領民に決して手を出さぬと言うのなら、もはや争ういわれもない」
唯「若君」
木村「無念でござる」
立ち上がり歩き出す忠清。
唯「若君、あの…」
忠清「何じゃ?」
唯「…いえ…」
木村「この城も、今宵が最後ということでござりますな」
忠清の前に立つ唯。
唯「お願いがあります。その最後、今日、黒羽城で迎えるはずだった 若君との祝言をここで挙げさせてくれませんか?」
忠清「何だと?」
木村「祝言を… ここで?」
唯「はい。お願いいたします」
忠清「ならぬ。先も分からぬ身でお前をめとることなどできぬ」
唯「だからじゃないですか。一日でも半日でもいい。若君の妻になりたいんです! 私をお嫁さんにして下さい」
目をくるくると泳がせる忠清。
忠清「唯…」
木村「差し出口をお許し下され。城代として城の最後をそのような祝い事で飾れれば、この上ないはなむけでござる。若君様、かなえられては、いかが」
唯「木村様」
木村「おなごの身でこうして命懸けで参ったのじゃ。加えて今宵は満月。四の五の言わず一生分抱いておやりなされ!」
唯「げっ!」
倒れる唯。
唯 < やめて! 木村殿。 マジ そういうの >
忠清「満月か…」
唯を見る忠清。
忠清「相分かった。 なれば木村、妻女と共に立ち会いを頼む」
唯の「一日でも半日でもいい。若君の妻になりたい」という言葉。
漫画「アシガール 10巻」からその想いをお借りする。
木村の妻女が、「おなごの想いはまた別にござりまする。たとえ、一夜の契りでもそれを胸に生きてゆけるものでござりまする」と唯の心を推し測る。
忠清の「先も分からぬ身でお前をめとることなどできぬ」という言葉。
これも漫画「アシガール 10巻」からお借りする。
忠清「わしはお前を傍らで守ることもできぬ。幸せにはできぬのじゃ。一日で別れてゆくとわかっていながら、妻を娶るは男の身勝手というもの」
ふ~~~ん。
わからない。唯も忠清も、どっちもわからない。
わからないけれども、「相分かった!」と承諾した忠清の判断はきっと正しい。
忠清がイエスを決めた鍵は「満月の夜」にあるんじゃないかな。
(つづく)