「アシガールSP」が、もうすぐ始まる!
ずいぶん長かったような、過ぎてみれば、あっという間のような。
スペシャルまでに、今までのドラマ全12回分を書くつもりでいたが………。
とてもとても、そういうわけにはいかなかった。
全部で12回書けば終了のつもりが、21回を過ぎてもまだ終わらない。
スペシャルを観て、それからまたマイペースで続けることにしよう。
それでは、ごゆっくりご鑑賞のほどを。
シャッ!
悪丸が見つけた山寺でおかゆの接待を受け、泊まることに。
寺には如古坊がいた。
納屋に唯と悪丸が案内される。
- 唯「悪丸! 寝ちゃ駄目だよ。如古坊が高山の連中に告げ口するかもしれないから」
- 悪丸「心得た」
次の瞬間、熟睡のふたり。
えっ! 部屋割りが違うのではないかい?
悪丸+唯? えっ、それってもしかして。
あっ、そんなことないか。
どんな部屋割りだったら、良かったのか。
1 (唯) (忠清) (悪丸)
2 (唯&忠清) (悪丸)
3 (唯) (忠清&悪丸)
4 (唯&悪丸)(忠清)
5 (唯&忠清&悪丸)
あなたならどれを選びますか?
ムフフ、ただ遊んでみただけです。ごめんなさい。
寝相の悪い悪丸の脚が唯のお腹を蹴る。
起こされた唯は、庭に出る。
- 唯「わ~、すごい星空」
- 忠清「眠れぬのか?」
- 唯「あっ、若君」
奥の寝間から忠清が出てくる。
- 忠清「夜が明ければまた歩くぞ」
- 唯「若君こそ、しっかり眠らないとだめですよ」
- 忠清「わしは慣れておる。戦場ではいつも眠りが浅い。すぐに目が覚める」
- 唯「私はどこでもすぐに眠れるんですけれど」
- 忠清「…であろうのう」
- 唯「悪丸に蹴られちゃって」
- 忠清「悪丸め、けしからんやつじゃのう」
笑うふたり。
あの部屋割りは問題だったね。
とも、いえないか。
忠清に思いがけず会えたもの。
「しっかり眠らないとだめ」という姉さんぶった唯の言葉。お母さんパワーが出ている。いつも背骨を伸ばしている忠清はちょっとデレッとする。
「どこでも眠れる」と言う唯に、「…であろうのう」と返す忠清。確かにそうだけど、どこで知ったの。唯の行動をよくウォッチしてきたんだ。
忠清は嫉妬してもいい場面だと思うけど…。
忠清も悪丸が大好きで信じているんだね。
空を見るふたり。
流れ星。
ふたりの目が合う。
縁に座る忠清。
- 唯「あの、助けに来てくれてありがとうございました。まさか若君が来てくれると思わなかったから、私、すごく嬉しくて」
- 忠清「お前を助けに行くよう送り出してくれたのは阿湖姫じゃ」
- 唯「阿湖姫が?」
- 忠清「お前を助けるのは、わししかおらぬと。お前を思うわししか」
- 唯「お前をって…。本当に?」
微笑む忠清。
背を向け頬をたたく唯。
- 唯「しゃっ!」
忠清を見る。
- 唯「わたし、長沢城でずっと思ってました。明日、死ぬかもしれない。明日宗熊と結婚させられるかもしれない。何が起きるかわからない。こんなことなら、もっと早く腹を決めてれば良かった。次に若君とそういうチャンスがあったら絶対に逃さんぞと…」
コブシを握り前のめりで忠清に近づく唯。
唯清め。まっすぐに言う方法を習わなかったのね。
「阿湖姫が『お前を助けるのはわししかおらぬ』と。『お前を思うわししか』と言っていたよ」
こんな言い方をされたら、「えっ?」って考えちゃう。
「お前」が「私」で、「わし」が「あなた」で。
唯を思うのはこの忠清。
だからぁ、「わしは唯が好きなのじゃ」ってどうして言えない。
これが、一国の総領として育てられた忠清の精一杯か。
「次に若君とそういうチャンスがあったら絶対に逃さんぞ」と言い切った唯を見習いなさい!
- 忠清「ははっ、まるで敵陣に切り込む勢いじゃのう。ははははっ・・」
- 唯〈 私、超フライングってこと? 〉
- 唯「失礼しました」
行きかかる唯を後ろから抱き締める忠清。
- 忠清「笑うて悪かった」
唯を見つめ頬から耳に触れる忠清。
唯〈 こ…これは絶対…目をつぶる場面だ 〉
目を閉じる唯。
唇を近づける忠清。
- 如古坊「おいっ!」
如古坊が来る。
- 唯「ああ、何よ。いいところだったのに」
- 如古坊「ふもとから松明が上がってくる」
- 忠清「何だと!」
思わず笑ってしまった忠清は、ただただ唯が可愛かったのだろう。
第4回で ♬おお牧場は緑♬ を歌ったあとのこと。
「わしは休む。ふくも来るか?」と褥に誘い、唯がためらっていたら「腹が決まったら参れ」と。
ジェントルマンよね。無理矢理だって文句の言えない立場なのに、余裕で待っていたものね。
唯はジリジリ後ずさりして部屋を出ていってしまった。
山寺でも、
「案ずるな、このままでは死ねぬのであろう」と唯を安心させる忠清。
「死ねません。せっかく腹を決めたのに」と真剣に応える唯。
急がない忠清は点数が高い!
忠清・唯・悪丸・如古坊の4人は、山路を走る。
途中、羽木勢と高山勢が川をへだてて対陣しているのが見える。
唯は、反対する忠清をでんでん丸で気絶させ、一人、羽木の陣地まで走ることを決心する。
- 唯〈 もう二度と会えないかもしれない。そう思いながら、何回離れなきゃならないんだろう 〉
一緒にいるという選択肢もあるのに、愛しい人を助けるために離れる方を選ぶ。どこまでも真っ直ぐな唯。
愛しい人が増え、その人の周りの者をも助けるために命を投げ出す唯。
あの唯が…。
授業中は居眠りし、先生を「みそ田楽」と間違える。友だちの恋バナには無関心。食べることは最重要課題。走りが速いのだけが取り柄。
なんてことのない高校生の中に、こんな誰もできないようなことに挑む心と力が秘められていた。
言い換えれば、どんな人にも、さらに言えば、全ての人に、力が秘められている。
そう気づかされているのかな。
唯はひとり、険しい山路を下りる。
でんでん丸を使い、足軽の衣装を敵兵から奪って敵陣に潜入する。
そこへ、敵の言葉に騙された成之や小平太たちが川向こうを歩いてくる。
成之を狙う鉄砲隊が配置につく。
- 唯「あ…」
飛び出す唯。坂口を押しのける。
- 坂口「あやつは間者じゃ! 撃て!」
成之に向かい、川の中を走って横切る唯。
- 唯「あっ! こっち来ちゃ駄目!!」
唯を狙う銃声。
- 小平太「何じゃ、あれは? 高山の足軽が味方から撃たれておる」
- 成之「唯之助…?」
銃声が続く。
- 唯「あっ。わっわっわっ!」
後ろ手に頭をかばい、走る唯。
- 小平太「唯之助じゃ、唯之助が走ってきます」
- 唯「兄上さん、来ちゃ駄目!!」
銃声!
流れの中に倒れる唯。
特集ドラマ「アシガールSP」のインタビュー 2018.12.14
忠清役の伊藤健太郎さんと、女子高生役の黒島結菜さんへのインタビュー。
Q 印象的なシーンを教えてください。
「人として大きい」唯。
唯・16歳、忠清・18歳のときに、この物語は始まっている。
戦国と現在では、年齢の持つ意味は違うだろう。しかし、子どもと大人の狭間にいる忠清と唯が、その年でしか経験することのできない悲しみや喜びに出逢う。
「その年でしか……」というなら、現在あるすべての人の年も「その年でしか……」ない。
だから、幸せや楽しみ、苦しみもやはり、その年でしか経験できない。
かけがえのない、命の一瞬。
◎ アシガール特別編『唯&若君 時空を超えた恋のキセキ!』
2018年12月23日(日)【NHK総合】 16時30分から17時55分
『アシガールSP』のこれまでをまとめた特別編
◎ 特集ドラマ「アシガールSP」
2018年12月24日(月・祝)【NHK総合】21時から22時30分
超時空ラブコメ再び!平成女子高生と戦国若君の恋の行方は!?
「SP」が刻一刻と迫っている。
(つづく)
第11回のストーリー
忠清によって高山から救いだされた唯に、高山親子が放った追っ手が迫る。
逃れる唯と忠清は、山寺で一夜を過ごすことに。
跡取りの忠清が高山領にいると知って羽木家は大騒ぎになる。
長沢城の座敷は煙で何も見えない。
- 唯〈 もしかして、あれを使ったのかも? 〉
咳き込む声。
- 唯「若君 !? 」
- 宗熊「宗熊です!」
- 唯「クマ? 」
- 宗熊「宗熊が、いまそばに!」
- 唯〈 クマに恨みはないけど、触ってきたら… 〉
- 宗熊「姫~!」
- 唯「ん、なろ~!」
唯は、突然肩に掛かる手を振り払う。
- 忠清「わしじゃ! 唯」
ゴーグルをつけた忠清。
- 唯「若君!」
近寄ろうとした唯は、忠清のゴーグルにおでこをぶつける。
- 唯「あっ、痛い!」
- 忠清「大事ないか」
- 唯「大丈夫でぇ~す」
- 宗熊「阿湖姫~」
- 忠清「わしの背に」
唯を背負う忠清。
- 忠清「いましばらくの辛抱じゃ」
- 唯〈 夢みたい。若君の背中、…そして 〉
- 唯「若君の髪~」
忠清の髪に顔を埋める唯。
- 宗熊「阿湖姫! もそっと近くに。なぜ逃げるのだ」
- 忠清「宗熊が侍女をお前と間違えておる、あっははははっ!」
- 唯〈 こんな状況でも余裕で笑えるなんて〉
- 唯「チョー好き!!」
背中から抱きしめる唯。
- 忠清「苦しい !!」
脱出劇の始まり。
忠清、たった一人(…悪丸もいるよ…)、敵方の城中。
どうやって救い出すのかと思ったら、尊の発明品だった。
けむり玉がこんなに有効とは!
宗熊だと思ってパンチした唯の手を、忠清は軽くキャッチした。
一人だけ目が見えているものね。いやいや、忠清は反射神経が優れているからね。
おんぶしてもらった唯は、突然地獄から天国へ。
いつも眺めるだけだったこの肩、この背中、この髪。
いつも(たぶんだけど)触りたかった髪に顔を埋め、首にしがみつく。
「苦しい !!」と返す忠清のちょっと冷たいところも、唯はチョー好きだろう。
夜。天野家。
褥で目を覚ます信近。
目の前に父・信茂。
- 信近「まだ、起きておられたのですか」
- 信茂「どう思う? 唯之助のことじゃ。返す返すも奇妙でならぬ。一国の総領が足軽ごときに命を懸けるとは尋常ではあるまい。なぜ若君は唯之助にそこまでして..」
- 信近「グ~、グ~」
座ったまま眠る信近。
信茂に扇子で額をたたかれる信近。
- 信茂「唯之助とは何者じゃ!」
真夜中の疑問。
背筋がゾォ~ッとした。
信茂は、悪い意味で唯を疑ったのだと思ったから。
ある日、現れた足の速い小僧。全く素性の知れない男の子。
それでも、信茂は唯の強い希望を聞き入れ小荷駄組に採用した。
さらに、忠清のお馬番に昇格させた。
追われた唯を天野家の使用人として屋敷にかくまいもした。
唯をどんどん身近に置くようになったが、信用していいものか疑いを捨てられないでいたのでは…。
信茂に「何者じゃ!」と疑われては唯の身が危ない。
しかし、これからのストーリーで信茂の考えが明らかになる。
大事な場で忠高を説得するのが「じい」だから。
やはり、ただものではない「じい!」。
慧眼の士であった。
朝靄の中、険しい山道を進む三人。
- 忠清「川に沿うて歩けば迷わぬと思ったが…」
- 唯「悪丸さぁ~、少しは気ぃ利かせてくれない? 離れて歩くとか出来ないわけ?」
- 悪丸「出来ぬ。若君のそばを離れてはならぬ。おふくろ様に言われた」
- 唯「若君、どう思います? この態度 ! 」
忠清の返す笑顔に唯の足も軽くなる。
手も足も泥まみれの唯。もちろん、悪丸も。
忠清はさすがにそう汚れてはいない。
唯の着物は膝丈にカットされている。
歩くのに邪魔だからと、忠清か悪丸が引き裂いたのか。切り口がほつれている。
唯は弓籠手を身につけている。
羽木城で、唯を助けに出発する忠清がまとっていたものだ。
夜の羽木城では、暗いから弓籠手の色がよく分からなかった。
たぶん、昨日まで忠清が着ていた。
今朝、着方や紐の結び方がわからない唯のため、「寒いからこれを着なさい」と忠清は着せてあげた? かもね♡
唯は白い着物(寝巻?)に、帯は前結び。朝の光に見る弓籠手は、鮮やかなオレンジ色。左半身から左腕にかけての体を覆い、暖かそう。
唯に、よう似合うておる。ブカブカだけど。
唯は悪丸に「離れて歩くとか出来ないわけ?」とムリを言うが、ここは離れないほうがいいと思うよ。(私見(笑))
笑って返す忠清。
忠清は唯を、唯は悪丸を、ときどき振り返り見守る。 厳しい状況の中、なんて親しく楽しそうな三人だろう!
どこかにハイキングしているようなウキウキ気分さえする。
山の中を歩く忠清。
疲れ切った顔の唯が続く。
へたり込む唯。
- 唯「もう駄目だ。二日、水だけなんて…、新記録です」
- 忠清「ハハハ」
目の前にキノコが生えている。
唯の腹の虫が鳴く。
キノコに手を伸ばす唯。
忠清がキノコを投げ捨てる。
- 忠清「腹を壊すぞ」
忠清を見る唯。
- 唯「あっ」
初めて会った時の忠清を思い出す。唯の脳内では……、忠清は太刀を唯に突きつけながら、「どこから参った」 と詰問していたっけ。
「初心忘るべからず」とはこういうことか。
シリーズ第1回、刀を向けた忠清に一瞬で恋をする唯。
♫ 出会った頃の二人に も一度戻ってみよう そして二人で手をつなぎ しあわせになろうよ ♫
初めて出会ったとき「お腹が空いたからキノコを食べる」という唯に、忠清は「毒じゃ。食うたら心の臓が止まる」と教える。
毒キノコだと親切に教えたのだと今まで信じてきた。
でも、きっと毒ではなかったと考えられる。
本当に毒だったら「好きなだけ食せ」とは言わないだろう。実際に唯は、ほおばってしまったのだから。忠清の止めるのが遅ければ死んでしまう。
ある意味、初対面の人をからかったのだろうか。いやいや、小僧に興味を持ったのだろう。
今回の忠清は、キノコを黙って遠くへ放り投げ「腹を壊すぞ」と言う。
親切の度合いが違っている。
忠清にとって、唯はやっぱり大事な人になっている。
- 唯「若君だって何も食べてないのに、なんで平気でいられるんですか。いつもと全然変わらない」
腰を下ろす忠清。
- 忠清「そうじゃのう。幼いころより、父上から幾度も言われておったのじゃ。まず徒歩で戦う雑兵の腹から満たせ。大将は食らわずとも笑っておれと」
- 唯「大将なのに?」
- 忠清「実のところ、大将の一番の役目は痩せ我慢じゃ」
- 唯「小さい頃から、そんなこと教えられるんだ」
忠清を見つめる唯。
- 唯「なんか…」
- 忠清「何じゃ?」
- 唯「なんか今…、モーレツにギュッと」
忠清に向かい手を伸ばす唯。
- 唯〈 やっぱりダメだ。阿湖姫に悪いもん 〉
ちょっと改まった様子の忠清が…。
- 忠清「唯…」
水や食べ物を探しに行った悪丸がもどってくる。
- 悪丸「若君! 向こうに寺がある。人もいる」
「雑兵の腹から満たせ」と教える父・忠高は名君であろう。
威張ってばかりのように見えるが、家来や領民に慕われていると思われる。だって自分が食べなくても兵士に食べさせ、自分は笑っているのだから。
このとき忠清は唯の「お母さんスイッチ」を押したかもしれない。
唯はギュッとされたいのではなく、ギュッとしたいと手を伸ばした。
「痩せ我慢じゃ」と言った後の忠清は、肩をすぼめ少し震えるようにして寂しそうに感じたから。
忠清は今まで周囲に強い部分を見せてきた。しかし唯には「大将の役目は痩せ我慢じゃ」と言えるほどに自分の内側を出し始めた。
♬ 言えずに隠してた昏い過去も( !? )あなたがいなきゃ永遠に昏いまま♬
唯には言えた。
さあ、さあ、ここでクイズです。
Q 悪丸がもどってきて、忠清の言葉を遮ります。忠清が「唯…」と呼びかけた言葉の後には、何と言ったのでしょうか。
悪丸め、タイミングが最悪 !
最悪なのは如古坊も !!
源三郎もだ !!!
すみません。つい先走りしました。
妄想はいっぱいあるけれど。 答えはわかりません。たぶん永遠に。
重ね重ね、すみません <(_ _)>
(つづく)
レストラン「きたざき」
表のメニュー表がすてき。
那須街道を上る途中のアジアンオールドバザールで右折し、ステンドグラス美術館へ向かう道の右側にある。
いつか行ってみようと思っていた。
コンセプトが「森の隠れ家」という名の通り、ひっそりと建っている。
サラダ
次の写真の塩漬豚バラ肉のはちみつ焼きに付いている。
「えっ」、ランチのおともじゃないよと思うほど、皿が大きい。
塩漬け豚の蜂蜜焼き サラダ+パンまたはライス付き 1300円
名物の蜂蜜焼きは、塩漬け+蜂蜜の甘さがなんともいえず食べやすい。
スペアリブ サラダ+パンまたはライス付き 1600円
トマトベースのソース。
盛りつけがきれい。
おしゃれで落ち着いた雰囲気。
また行こう!
アシガール・第10回 -3-「その結婚ちょっと待った!」
長沢城を逃げだそうとした唯は、座敷牢に入れられる。
宗熊が煎り豆を持ってくる。
- 宗熊「父上にここに閉じ込められたとき、よう食べた」
- 唯「あ…、ありがとう」
格子の隙間から巾着を受け取り、中の煎り豆を食べる唯。
唯を見つめる宗熊。
- 唯「あんたさぁ、あんな親熊の言いなりに私と祝言なんか挙げさせられちゃって、それでいいわけ? あんなに、たたかれてさ」
- 宗熊「父上はわしを鍛えようとされておるのだ」
- 唯「けど、それが嫌で逃げようとしたんじゃないの? 違う?」
- 宗熊「わしは!、総領なので…」
- 唯「総領が何よ! 私だって、足軽だよ!」
- 宗熊「はぁ?」
- 宗熊「確かにこれは、わし自身が努めねばならぬ事なのかもしれぬ」
- 唯「そうそう、その通り」
- 宗熊「阿湖姫とおると、このようなわしでも何かできるのではないかと、そう思えてくる」
- 唯「そうそう! その調子!」
- 宗熊「阿湖姫との祝言がまこと楽しみじゃ!」
- 唯「そう!そう! えっ? って、違う!!」
- 宗熊「明日、松丸より兄上の義次殿が参られるそうじゃ」
嬉しそうに去って行く宗熊。
- 唯「あ に う え ?」
宗熊の存在は、忠清にとっては敵の嫡男。しかも恋のライバル( !? )。
唯にとっては、誘拐され閉じ込められ、有無を言わせず結婚させられる相手。
そんな得体が知れない男に、唯はアドバイスする。
「もっと自分に自信を持って」
「人の言いなりになるな」
宗熊は深くうなずいている。唯のことばは、宗熊のこれからを変える力がある。
確かに、宗熊を励ます唯のことばを聞いていると、もし唯と結婚したら「宗熊」は、幸せになれるかもしれない。
宗熊も大事に育てられた長男。少し愉快な面もあるし…、唯の逃げるのを阻止したりもしたが…。
囚われの唯を慰め、干菓子や煎り豆を運んだり、けっこういい奴でもある。
しかし、唯の方は絶対にムリムリムリ、無理無理無理。
「この結婚ちょっとまった!」だ。
高山城座敷。高山宗鶴と松丸義次が対している。
侍女に案内されて唯がくる。
宗鶴に「中へ」と促され、唯は顔をこすりつけるように這って義次に近づく。
- 宗鶴「なんじゃ、あの気味の悪い動きは?」
- 諸橋「さあ〜?」
畳を這う唯をガン見している義次。義次の少しの横顔と、後髪と、左耳が確かに見えている。
義次の横に座る唯。
- 唯「こ…この度はご機嫌麗しゅう」
- 義次「久しぶりじゃのう、妹よ」
顔をあげる唯。
- 唯「わ…わ、わ、わ」
- 忠清「息災でおるようじゃのう、阿湖」
義次になりすました忠清を見て驚く唯。
- 唯「ああ〜、ああ」
- 宗鶴「阿湖姫のことは、このように心よりもてなしておりまする。息子、宗熊もたいそうな気に入りようでのう」
ニッコリ笑う宗熊。
- 忠清「まことに、かたじけのう存じます」
- 宗鶴「どうであろう。兄上もご同席の今宵、早々に婚儀を済ませてしまっては…」
- 忠清「今宵でございますか?」
- 宗熊「はい」
- 忠清「それは、よいお考えにございます」
驚いて目を見張る唯。
- 宗鶴「うむ、フフフ」
目の覚めるどんでん返し。
義次の代わりに忠清本人が高山城に乗り込むとは!
今まで、ストーリーの流れでは全く触れてなかった。
だから、見ている方は唯の隣りにいるのは阿湖の兄・義次だと思っていた。
着物を着せられている時、唯の心の声が〈 妹じゃないってバレたら、熊との結婚はなくなるけど、命もなくなるかも 〉と言っていた。
文字通り、必死の体勢で這って進む唯を〈 しっかり! 〉と応援していた。
ところが、義次に化けた忠清は、絶対におもしろがって見ていた。
忠清のほんの少しの横顔と後髪と左耳が画面の隅に写っているのだ。ということは、左側を這って進む唯が見えるということだ。
え? こんな非常事態に忠清は笑って見物している。
何とした余裕!
この後、婚儀の支度に行く唯に、忠清は微笑んで「のちほど」と伝える。続けて宗熊が同じく微笑んで「のちほど」と言う。
二人の「のちほど」に反応する唯の顔が “みもの”。
長沢城座敷。
唯が婚礼衣装を着させられようとしている。
- 嶋「高山のご正室が代々お召しになった打ち掛けでございます」
- 唯「嫌、ぜったい着ない!」
部屋の隅に逃げ、体育座りをする唯。
侍女たちが唯を囲み、着替えさせようとする。
- 侍女「阿湖姫様」「阿湖姫様」
- 唯「嫌! 着ません! ぜったい着ないから!」
- 侍女「姫様」
- 唯「離せ! あ〜〜〜〜!」
- 嶋「何という、強力じゃ」
- 唯「あ〜、もう!」
- 嶋「みんな来やれ。誰か手を…」
嶋が助けを求めて襖を開ける。
- 嶋「何じゃこれは !?」
廊下は煙が立ちこめている。
- 嶋「火事! 火事か !?」
うずくまる唯。
- 唯「あっ!」
何かを思いつく唯。
- 唯「若君、早く来て!」
唯は婚礼衣装を着なければならない状況にいる。
しかし、無駄な(と思える)抵抗をする。
ここで、衣装を着ないでがんばった時間稼ぎが大切な鍵になってくる。
忠清は、尊の発明した「けむり玉」を使い「一時間だけ100メートル四方真っ白な煙で覆える」を、実行に移そうとしていた。
唯がすんなり衣装を着てしまったら、忠清が作戦を行う余裕がない。
忠清にしても「この結婚ちょっと待った!」なのだ。
タイトルが全てを語る。
アシガール全12回のタイトルは、すべてすごい!
短くて6文字、長くて11文字。全部に「!」マークが入る。
タイトルを読むだけで、音と映像とが立ち上がってくる気がする。
さあ、煙の中で唯はスーパーマンに逢えるでしょうか?
次回をお楽しみに!
《「アシガール」の次回予告》について
予告の構成が凄い!
ウィットのきいたカットが、たたみかけてくる。
こんなクオリティの高い「予告」は観たことがない。次回に興味を持たせるのが予告の役目だが、その役を遙かに超えている。
しかも毎回毎回そうなのだ。20秒ほどの間に、次回映像の始めから終わりのほうまで、何カットも見せてくれる。
作る前のジグソーパズルのピースのように、美しいカットがちりばめられている。
筋が分かりそうで実はまったく分からない。
よ〜く観ても、わからない。
警告!
「予告だけみてわかった気になるな」
「次回の話は次回を観て初めて分かる」
「観なければ分からぬのだぞえ」
𠮷乃ちゃんに叱られる!
o♡o。.。o♡o。.。o♡o。.。o♡o …☆…☆…☆… o♡o。.。o♡o。.。o♡o。.。o♡o
◎ 特集ドラマ「アシガールSP」プレマップ(随時放送中)
プレマップの予告映像(2分間)も 豪壮・壮観・壮大・壮麗・見事
◎ アシガール特別編『唯&若君 時空を超えた恋のキセキ!』
2018年12月23日(日) 総合 16:30〜17:55
『アシガールSP』を前に、ふたりのこれまでをまとめた特別編を放送!
◎ 特集ドラマ「アシガールSP」
2018年12月24日(月・祝)【NHK総合】21:00〜22:30分
超時空ラブコメ再び!
平成女子高生と
戦国若君の恋の行方は !?
o♡o。.。o♡o。.。o♡o。.。o♡o …☆…☆…☆… o♡o。.。o♡o。.。o♡o。.。o♡o
吉良邸跡 本所松坂町公園
元禄14年(1701)、吉良上野介義央が拝領して建設した吉良家の上屋敷のあった場所。広大な敷地は、2,550坪あった。
浅野匠頭守による殿中刃傷事件の後、没収された。吉良家の屋敷となっていたのは、約1年半ほどの短期間だった。
昭和9年、地元の有志が土地(29.5坪、当時の86分の1)を購入して東京市に寄付した。現在は、本所松坂町公園・吉良邸跡として残されている。
なまこ壁と門とが、当時の様子をしのばせる。
吉良上野介義央(よしひさ)公の像
愛知県吉良町にある木像を元にしている。
1691年、吉良公50歳頃に自ら作らせた像が現存していて、それを再現した。
敷地内の松坂稲荷
松坂稲荷大明神と染め抜かれた赤い幟。
幟のすぐ右に見えるのが「御首級(みしるし)洗い井戸(吉良の首洗い井戸)」の説明看板と井戸の蓋。
吉良邸跡に面する道をはさんで、反対側にある家のシャッターが美しい。
前回で紹介した回向院と、討ち入りのこと。
もうすぐ 賑やかな元禄市!
2018年 元禄市 義士祭・吉良祭
開催 2018年12月8日(土)・9日(日) 9:00〜17:00
吉良と赤穂を偲び、今年も両国・吉良邸跡で追悼祭と露天市が行われる。
赤穂四十七士を供養する「義士祭」に先立ち、悪役になりがちな吉良上野介を供養する「吉良祭」と、食材、衣料品など約80の露店が立ち並ぶ「元禄市」が同時に行われる。
回向院山門 東京都墨田区
振袖火事(1657年:明暦3年正月18・19日)、江戸史上最悪の惨事となった明暦大火の犠牲者を弔う為に建立された寺院。
死者、10万8千人余。
回向院境内で勧進相撲が初めて行われた(1768年)。
案内看板
安政大地震(死者2万5千人余)、関東大震災(死者10万人余)などで犠牲になった方々も弔っている。
回向院所蔵の文化財
加藤千蔭墓(東京都指定文化財)
銅造阿弥陀如来坐像(東京都指定文化財)
磐瀬京伝・京山墓(東京都指定文化財)
石造明暦大火横死者等供養塔(東京都登録文化財)
石造海難供養碑(墨田区登録文化財)
無縁法界塔(墨田区登録文化財)
石造阿弥陀三尊立像(墨田区登録文化財)
六面六地蔵石幢(墨田区登録文化財)
鼠小僧供養碑(鼠小僧の墓)(墨田区登録文化財)
回向院相撲関係石碑群(力塚)(墨田区登録文化財)
回向院 鼠小僧の供養碑
供養碑は、頭の尖ったねずみ顔に見える。
有名な「鼠小僧」は、1797年生まれの実在の盗賊。1832年、浅草で処刑されている。
武家から金品を盗み、庶民に配ったという虚構が狂言になり、今も人気がある。
江戸時代、犯罪者は墓が作れなかったため、この供養碑が作られたと思われる(供養碑の説明文より)。
鼠小僧の墓
後ろがお墓で、前の白い石が「欠き石」。
歌舞伎界でも文学界でももてはやされ、お参りすれば御利益があると言われるようになった。
人気のパワースポットで、まわりに並んだ小石を使い白い石を欠きとり財布に入れると、運が良くなるらしい。合格祈願の受験生も後を絶たないとのこと。
説明の方が「欲を出してたくさん削ると、御利益は少なくなる。ほんの少しでいいのです」と話していた。
アシガール・第10回 -2-「「その結婚ちょっと待った!」
黒羽城広間。
忠高と阿湖、阿湖の兄・義次が待っているところへ、忠清が来る。
忠高が忠清に見せた書状には、阿湖と宗熊の縁組みのことが書かれてある。
- 忠清「阿湖殿を宗熊と縁組みさせる !?」
- 忠高「それよ、ハハハハ。たわけた入道と思うておったが、これほどとは。バカ息子に唯之助をめとらせるとはのう」
- 忠清「父上。この始末、忠清にお任せいただけますか?」
- 忠高「いらぬ。下人は己で逃げればよい。できぬならそれまでの事」
忠高が「下人は己で逃げればよい」と、言った。
初めに聞いたときは、「下人」という言葉の強さに衝撃を受けた。
唯は下人か。
落ち着いて考えると、確かに殿様にとって足軽は下人だ。
身分制度が厳しい時代、仕方のないこと。
忠清だって、唯でない他の下人は、下人と考えるのだろう。
戦国時代、下人はいわゆる奴隷に近い扱いがされていたようだ。戦のとき、農民を奴隷として奪ってくるのは普通だったとのこと。
悪丸は奴隷だったのか?
織田信長に黒人の家臣がいたのは史実にある。
「アシガールSP」(2018年12月24日)では、永禄3年(1560)高山が織田信長の家臣に唆され、忠清に戦をしかけてくるらしい。
時代は合っている。
夕方。庭で素振りをする忠清。
脳裏を唯が駆けめぐる。
「足軽の唯之助が参ります!」
「ホイッ!」
「私、必ず、必ず守りますから」
「こんなもんが定めなはずない!」
「若君様〜〜〜〜〜〜ッ!」
忠清の額の汗が夕陽を受け光る。
素振りをする忠清の脳内が明かされる。
こんなに分かりやすく忠清の心を描くのは珍しい。
立木山まで唯とふたりで駆け抜けた戦。
ドキドキの夜の「おお牧場はみどり」。
眠っていると思って、わしを「必ず守る」と誓っていた唯。
自身を捨てて、わしを治療のため平成の世に送ってくれた唯。
・・・あの時もこの時も、どんな時も守り続けてくれた!
忠清の『唯を必ず奪い返す』という決意が伝わってくる。
忠清が義次に「長沢城での策」を頼みに行った後、阿湖が忠清を追いかけてくる。
- 阿湖「若君様」
廊下で足を止める忠清。
- 阿湖「唯之助、いえ、唯のこと、私もなんとしても無事にと。命を救ってもらったというだけではありませぬ。私は、唯が好きなのです」
- 忠清「阿湖殿」
- 阿湖「唯をもう一度、若君様に会わせてあげたい。唯のことを、誰よりも心から思うておられる若君様に。唯をお助けください。私のことは、お気になさらぬよう」
頭を下げ、小さく微笑み去って行く忠清。
許嫁でありながら、下人の唯に忠清を譲る(?)とは…。
阿湖の自己犠牲が過ぎる。
「自分に心が向いていない人と結婚したって、将来うまくいくはずがない」そう思ったのか。
それでは、あまりに現代的だ。
この時代、心なんて関係なく結婚していただろう。
まったく普通のことだろうに。
お互い思い合うふたりが幸せになってくれれば…。
そんな考えあり得ない。
なぜ、阿湖が身を引いたのか?
謎を残して話はすすむ。
夜。黒羽城。
単身、唯を助けようと居室を出る忠清。
- 悪丸「若君様!」
- 忠清「誰じゃ?」
- 悪丸「足軽の悪丸でござる」
- 忠清「ここで何をしておる?」
- 悪丸「若君を待っていた」
- 忠清「わしを?」
- 悪丸「唯之助のおふくろ様に、ここで待つように言われた。これをお渡しするようにと」
唯のリュックサックを受け取り中を見る忠清。
忠清は中身を一つずつ取り出す。
- 悪丸「でんでん丸。まぼ兵くん。けむり玉」
けむり玉用のゴーグルをしてみながら、笑う忠清。
- 忠清「尊の作ったものじゃな」
- 悪丸「摩訶不思議な妖術を起こす。武器になる」
- 忠清「やはり、おふくろ殿には読まれておったか」
リュックを閉じて片手に持つ。
- 忠清「確かに受け取った。おふくろ殿によう礼を申してくれ」
忠清が去ろうとすると、悪丸がリュックにガシッと手をかける。
- 悪丸「わしが持つ」
- 忠清「何だと?」
- 悪丸「若君のそばを決して離れてはならぬ。そう言われた」
リュックを背負う悪丸。
- 忠清「大したお方じゃ、あのおふくろ殿は…。悪丸、よう聞け。長沢城には阿湖姫の兄上が参る手はずになっておる。そして、わしは唯之助…、なんとしてでも唯を救い出す。参るか?」
- 悪丸「参る」
- 忠清「ハハッ、頼もしいのう。参るぞ」
𠮷乃の先見の明がここでも光る。
悪丸の豊かな人間性。
生まれも育ちもはるか異なるのに、そこの社会に溶けこみ信頼されている。𠮷乃が悪丸を見込んだのも凄い。元はと言えば、唯が悪丸を正しく評価していたからだが。
これから始まる唯の奪還劇に悪丸は欠かせない人になる。
いくら強くても忠清一人では難しいから。
『信長のシェフ』(西村ミツル・梶川卓郎)に、ポルトガルから来た宣教師フロイスの母が言った言葉がある。
「どこにいようとも、そこがあなたの故郷なのです。故郷の人たちのために働かせていただくのですよ」と。
国を超えて世代を超えて、母の言葉は同じだなあ!
𠮷乃も、悪丸も、羽木の守り神であろう。
そういった意味では、でんでん丸などを作った尊だって、忠清を送り出してくれた阿湖だって、じいだって、守り神。
尊の両親だって、阿湖の兄だって、じいの息子・小平太だって、黒羽の人々だって。
みんなみんな守り神!
(つづく)
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超時空ラブコメ再び!平成女子高生と戦国若君の恋の行方は!?
特集ドラマ「アシガールSP」
2018年12月24日(月・祝)【NHK総合】21時から22時30分
【 BS4K 】17時から18時40分
※4Kだけのスペシャルコンテンツも放送!
物語
時は永禄3年 (1560)。命がけで羽木の危機を救った速川唯(黒島結菜)は、ついに若君・羽木九八郎忠清(伊藤健太郎)と婚約。ところが和議を結んだはずの宿敵・高山宗鶴(村田雄浩)が再び戦を仕掛けて来た。
「生きることこそが勝ち」という忠清の思いは……!
アシガール特別編『唯&若君 時空を超えた恋のキセキ!』
2018年12月23日(日)【NHK総合】 16時30分から17時55分
『アシガールSP』を前に、ふたりのこれまでをまとめた特別編を放送します!
脚本のことば…宮村優子
ドラマの唯や若君とともに、このチャーミングな世界を できるだけ「真空パック」できるよう、新旧スタッフ一同、一丸となって「励め」とばかりに気合い入れてみましたっ。前にも増してふたりを愛しく思っていただけたら。
それではクリスマスの夜に。しゃっ。
演出の言葉…伊勢田雅也
このドラマは不思議なドラマです。ふだんほかのドラマを撮っている時、辛いことばかり考えてしまうのですが、「アシガール」ではなぜか居心地がいいのです。
一年ぶりに黒島さんと健太郎君に会った時、彼らの成長が、作品自体も成長させたと、完成したものを見て思います。
制作の言葉…陸田元一
「アシガール」の最初のシリーズをやることは、実は大きなチャレンジでした。ところが蓋を開けてみると、大いに支持され、こうして続編を制作できることになりました。
「唯そのもの」と森本さんからも太鼓判を頂いた、黒島結菜さんのキラキラした躍動感。オーディションで選んだ伊藤健太郎さんの若君らしい実直さ。それらを彩る冬野ユミさんの、いま心からこぼれ出たような音楽。極上のクリスマスプレゼントをお楽しみください。
アシガール・スペシャル HP
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特集ドラマ「アシガールSP」試写会(11月26日、NHK)にて
演出の伊勢田雅也「(伊藤健太郎さんは)本当にいい人。何を言っても怒らない。ダメ出ししても『わかりました』と言う。こんな子供が自分にいたらよかった」と性格をベタボメ。
黒島結菜「今回は前作より、キュンキュンする2人のデートシーンが多い。ラーメン食べたり、手をつないでスキップしたり壁ドンしたり、ギュッと抱きしめたり…」
記事の一覧
この記事をいれて、覚え書きが「55ページ」になってしまいました。
例えば「第10回が見たい」と思っても探すのに苦労していました。(カテゴリーで探すのもややこしや…)
そこで、一覧を作りました。
アシガール・第10回 -1-「「その結婚ちょっと待った!」
第10回のストーリー
阿湖の身代わりとなって高山にとらわれた唯。それを聞いた若君・忠清は必死で探す。
企てを知っているらしい兄・成之と、ついに剣を合わせる忠清。
高山から、預かった阿湖=唯を跡取りの宗熊と結婚させるようにとの申し入れが。
絶体絶命の危機に唯は…。
無事、城に戻ってきた阿湖は地面に土下座した。
- 忠清「姫、無事で何よりであった」
- 阿湖「ご城下で曲者に襲われました」
- 忠清「唯之助を供にしておったというのはまことか?」
- 阿湖「はい。2人して身を隠しておりましたが追っ手が迫り、唯之助は私と着物を取り替えておとりに」
- 忠清「おとり」
- 阿湖「あまりに恐ろしゅうて私はその場を動けず、唯之助の行方もそのまま...」
- 忠清「源三郎、太刀を持て!」
- 小平太「すでに配下の者たちが探しております」
- 忠清「どけ!! 馬引け!!!」
小平太を突き飛ばす。
- 小平太「若君様! 若君様!」
あわてて後を追う小平太。
激情ほとばしる忠清は初めてか。
さらわれたと知って慌てふためく忠清。
感情を晒して馬を引けと叫ぶ忠清。
かっこよし。
小平太にも他の配下のものにも穏やかで優しかった忠清の、変貌!
阿湖はこのとき初めて、忠清が唯を愛していると知ったのだろうか。
もし自分がいなくなっても、こんなに必死に捜してはくれないだろう。唯之助だから必死なのではないか。
もう阿湖は、唯之助が男ではなく女だと知っている。
忠清の心が許嫁の自分には “ない” !!
早朝の黒羽城。
忠清が唯の捜索から戻る。
ひれ伏す阿湖。
- 阿湖「忠清さま。お許しくださいませ。私が城を出たいと唯之助に無理を申したばかりに」
- 忠清「もうよい。気に病まれるな」
- 阿湖「もし唯之助の命が絶たれるようなことがあれば…」
- 忠清「いや、それはあるまい。これが高山の仕業なれば曲者どもは唯之助のことを阿湖殿と思い込んでいるはず」
太刀を立掛け台に収める。
- 阿湖「やはりご存知だったのですね。唯之助は、おなごにございます」
- 忠清「さよう。名を唯と申す」
座った忠清は、立っている阿湖を見上げながら続ける。
- 忠清「足軽のなりをし、戦でわしの命を守らんとする、たわけたおなごでござる」
- 阿湖「忠清様を守ろうと…」
阿湖は唯之助を男の子だと思って話し相手にしてきたが、実は女の子だった。
驚いた阿湖が忠清に「おなごにございます」と告げたら、唯清メ、即座に「さよう」と肯定し、名前まで知っていた。
これは優しくないぞぇ。少しくらいびっくりしてみせたり、「そうかなと思っていた」とか、さ。
忠清は夜通しの捜索で疲れて、髪も乱れ顔色もよくない。
それなのに、唯のことを嬉しそうに笑って話している。「たわけたおなごでござる」なんて喜んで発表している。
忠清の着物に袴に朝日が当たり、爽やかに笑っている。…忠清メ。
敗北の阿湖。自分が結婚相手なのに、他の女のことを心配し、眠らず捜す新郎予定の人。
複雑な心模様の阿湖は…。
広い座敷。唯が一人食事をしている。唯にはここがどこか判っていない。
- 唯「あの〜、何度もお尋ねするようですが、ここはどこの、なんという場所ですか? 誰かのお屋敷?」
- 嶋(侍女)「阿湖姫様、お済みになりましたらお呼びくださいませ」
そう話すと、大勢の侍女が頭を下げ座敷を出て行く。
- 唯「やっぱ、阿古姫だと思われてるよ。違うとバレたらどうなるんだう」
困った顔で座敷を歩き回る唯。
昨晩に穴を開けた障子を覗く。
男がこっちを見ている。
- 唯「座敷わらし!!」
障子を開けるととぼけた顔の男がいる。
唯が手を振ると男も手を振る。
唯は、飼い慣らしてきたと男に駆け寄る。
- 嶋「阿湖様〜」
- 唯「やばい、後でまたいろいろ教えて?」
唯を目で追う男は、高山の嫡男・宗熊だった。
置かれた状況は深刻だ。
ここで唯の力が見えてくる。
心は落ち着かなくても、しっかり食事をする。
誰かも分からない、とぼけた男にコンタクトをとる。
その男を信用して「後でいろいろ教えて?」と頼んだりする。
次の第11回山寺の一夜で…。
唯は忠清と語り合う。「私、長沢城でずっと思ってました。明日、死ぬかもしれない。明日、宗熊と結婚させられるかもしれない。何が起きるかわからない……」
次回でまた書くかもしれないが…。大げさな唯だと、つい思ってしまう。
しかし、全くそんなことはない。大げさどころか、「死ぬ」ことは日常なのだ。結婚は策略だし…。
高校生の唯の苦しみ恐れが、回を追うごとに強まってくる。
だが、……逞しいのだね、唯。
成之の母・久が住む庵
久に続いて忠清が入り、成之に一礼する。
- 忠清「母御がご存命であったとは」
- 成之「お尋ねになられませんでしたので」
忠清は阿湖が城下で襲われた話をする。
- 忠清「兄上のお指図にございますか?」
- 成之「なれば、どうされる?」
- 忠清「居所を語ってもらわねばなりませぬ。姫の代わりに唯之助が連れ去られました」
- 成之「なんと、ハッハッハッハ。羽木の若君様が、あの小娘にかくもご執心とは」
- 忠清「お教え、いただけぬと?」
忠清を見る成之。
- 成之「昔のことじゃ。側室の母と私は城から出され、しばらくして誰ぞに毒を盛られた。私の代わりに母が服し、倒れた」
- 忠清「・・・・」
成之さん。尋ねられなければ、どんな大事なことでも言わないでいいのかい。ひねくれた心がにじみ出ているよ。
同じ殿の息子である成之と忠清の対比。
母の生まれた家柄の違いで、殿の扱いが天と地。
城内で不自由なくぬくぬくと大切に大きくなった忠清。弟のくせに総領だ。
幼くして城から出され、ひっそりと生きてきた成之。毒殺されようともした。ひねたくなるのも当然か。
「羽木の若君様が、あの《小娘》にかくもご執心とは」
成之は最初の出会いで、もう唯之助が女だと覚ったようだ。唯は、成之が忠清だと勘違いして、ドーンとぶつかっているものね。生身の体が当たれば性別は判るだろう。
小平太とは大違い。小平太は超鈍感だから、最後の最後まで判っていなかった。
小平太は細かいことは気にしない、真っ直ぐなところがいいところだ。剣の腕は群を抜いていて、忠清のよき相談相手でもある。忠清にとって小平太は、部下ではあるが兄のような、先輩のような存在だったかも。
兄と弟は、口論になる。
- 成之「お前は なぜそのように、あらゆるものをたやすく手放そうとする? 教えてやろう。それは、なにひとつ己の力で手に入れたものではないからだ。ただ与えられた身を、それらしゅう生きてみせる。それがおまえだ」
- 忠清「哀れなお方だ」
- 成之「なんだと?」
- 忠清「私への憎しみなら、私へ向ければよい。松丸の姫や唯を苦しめるよりほか手立てを知らぬとは。卑怯な者を、人は決して仰ぎはせぬ。兄上は人の上には立てぬ!」
忠清を外へ蹴り飛ばす成之。
庭にて刀を抜く二人は、激しく斬り合う。
- 成之「唯之助ならば長沢城じゃ」
- 若君「長沢! 高山の本城に!?」
- 成之「阿湖姫でないと知れれば、どうなることやら」
皮肉っぽい笑みを浮かべる成之。
斬りかかる忠清。倒される成之。
- 久「ああっ」
久の不意打ちをかわす忠清。
- 成之「母上」
両手を広げて成之を後ろに庇う久。
とまどう忠清。
恵まれた地位に生まれ、自ら努力しないでも欲しいものは手に入る。「なにひとつ己の力で手に入れたものではない」「ただ与えられた身を、それらしゅう生きてみせる」。成之は忠清をこのように評価していた。
ここで初めて、成之の思っていることが明らかにされた。本音が出たから、闘い(兄弟げんか)が出来た。幼いころから一緒なら、星の数ほど、けんかしてきただろうに。
兄弟はけんかを経て分かり合える間柄になっていくのかもしれない。本当の剣、正に真剣だったことが大層危険ではあったが。
闘いをしたからこそ、成之は唯の居所を告げた。
忠清は成之を本当に斬ろうとはしなかった。斬れば斬れたが。止むを得ず刀を抜いたが、応戦はしても勝つ気はなかったのだろう。無駄なことだから。
「兄を慕い兄とともに黒羽を守りたい」
忠清の胸のうちはそうだったかもしれない。